零細IT企業経営&2児の父となった、あがたの個人ブログです。

CG業界で10Gigabit Ethernetの需要が高まっているのだが

ここのところCG業界に片足を突っ込んでいるんですが、ネットワーク周りの話でちょいちょい駆り出されることが増えています。
まあCG業界だとまともな情シス部門を持っている規模の会社も少なく、多少詳しい方が片手間でネットワーク管理をやっているケースも多くて、実際中覗いてみるとうへぇ…と言いたくなるようなことが多々あります。
まあその話はまたの機会として、今回はCG業界でも注目されてきている10Gigabit Ethernetのお話です。

誰の陰謀かは知りませんが、昨今のCG業界を揺るがしているとある出来事があります。
それは、4Kやさらに8Kといった映像の高解像度化です。
現状のHD画質ですら結構ひーこら作っているところもあるというのに、さらにその4倍、8倍だというんですからたまったもんではありません。

カメラで撮影する映像制作はまあいいんですよ。カメラや各種映像機器が8K対応すれば8Kの映像が作れるわけですから。(実際はそれはそれでいろいろ問題もありますが)
ところがCGアニメーションは1フレームずつレンダリングして行かなければならず、CGの仕組みの関係上、解像度が4倍になれば4倍、8倍になれば8倍レンダリング時間がかかります。
また、それによるデータ量の増加も半端ではありません。

時間がかかる点については、レンダリングを行うにあたり多数のマシンに分散処理させて力技で解決するしかありません。
つまり、これまでHDで制作していたものを8Kにするには、単純に8倍の台数のマシンが必要になってくるということです。
もちろん時間を8倍かければ同じものは作れますが、「締め切り」というものがある以上あんまりちんたらやっているわけにも行きません。
その割に制作費はほとんど変わっていないと聞きますんで、何その拷問って感じです。
ほんと8KとかやめてくれませんかねってのがCG業界の本音じゃないかと思います。

とはいえ、国策だかTVメーカーだかの陰謀かわかりませんが、8Kも次の東京オリンピックまでには実用化するんだそうです。
そうなると知らん顔も出来ないので何とかする方法を考えているのが今の段階です。

現実的には2K程度の画像を作成して2倍に引き伸ばして4Kですーと言ってもほとんど場合問題はないそうなんですが、100インチクラスの大画面になればさすがにバレますし、今後8Kになったときにさすがにそれはないだろうという話になりそうです。

そんなわけで、明日から本気出す、と先延ばしするわけにも行かなくなってきた昨今、レンダリングシステムの再構築なんぞの話があるわけですが、いざ考えてみるとあるところで困ってしまいます。

それがなにかというと、ネットワークです。
8Kに対応するにはマシンを増やすしかないという話、それと扱うデータ量が増える話をしました。
この増えたマシンで、大量のデータを共有して分散処理を行う必要があるんですが、当然ながらそれぞれの掛け算でネットワーク帯域を消費します。
しかも厄介なのが、このやりとりが作業者のマシン、レンダリングサーバーとストレージの間で双方向で発生する点です。
3DCGだとまだ元データが小さいのでましですが、動画編集になると元データも大容量の動画データとなるのでかなりやっかいです。
これらのファイルは共同作業や分散レンダリングのため共有ストレージ上に置かれます。
となると当然ながら共有ストレージの帯域が真っ先に足りなくなります。

ですが、先ほどの通り、作業マシンやレンダリングサーバーもこのファイルを都度読み込んで処理を行うので、その読み込みに時間がかかれば作業時間やレンダリング時間に大きく影響します。
ということで、ストレージ、作業マシン、レンダリングサーバー全てを10Gigabit Ethernetにしたいという要望が出てきています。

まあそもそもこの容量でやりとりするので、ネットワークがキツイのは当たり前なんですが、そこで問題になるのがコストの問題。
はじめの方でもお話したとおり、4Kや8Kになったからといって制作費が大幅に上がったわけではありません。
となると、なるべく安く機材を刷新したいというのは仕方ないことです。
制作費を上げてもらうというのはそれはそれで必要な交渉事ではありますが…それはそれで一朝一夕に進むものでもないですしね。

その際に頭を抱えるのが、何かといえば、10Gigabit Ethernetのスイッチングハブです。
現在市場に出回っている製品を見ると、10G対応のスイッチングハブはアップリンク数ポートが10GだけのL2スイッチや、コアスイッチ用途のL3。
CG業界的には全てのマシンを10G化出来たほうが理想なので、どちらかと言うとフル10Gポート搭載のものがいいんですが、後者のコアスイッチ用の製品だとL3機能は不要だし、ポート密度もGigabitに比べるとまだまだです。(これは消費電力の問題もあると思いますが)
つまり、ポート単価が全く見合わない状況なんです。

CG業界としては、単純にL2 Gigabitのスイッチングハブを10Gにリプレースできたらいいだけなんですが、L3で妙に高くてポート数も少ないスイッチングハブしかない。
先日もとあるネットワーク機器メーカーでその話をしてきたら、「企画段階のものはあるんですけどね…」という回答でした。

コスト面の問題があるとはいえ、彼らも必要な物なのでそこそこリーズナブルであれば買うんですが、不要な機能(L3)が入って高くなっているのはこちらとしても提案しづらい。
とりあえずどこか24ポートぐらいでいいので、フル10GのL2スイッチ作ってくれないですかね…。

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